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『そんな事より』 僕にとっては、今までの常識が崩れ落ちるような、衝撃的な出来事なんだ。でも猫又先生は、たいした事なんてなさそうに言う。 実は喋る猫って沢山居るのかしら? 『人(?)が話してる時は、きちんと聞きなさい』 「ご、ごめんなさいっ」 怒られちゃった……。 猫又先生は、空き地の周りを囲っているブロック塀にぴょこんと跳び乗ると、姿勢を正した。 そして、目線を僕より上にして話し始める。まるで本当に、学校の先生が黒板の前に立って話してるみたいだ。 『さっきの男ですが、その後ろに黒い影があったのが視えたでしょう?』 「うん。何なの? あれ」 『あれは鬼です』 「鬼? 鬼ってあの昔話に出てくる、角が生えて虎のパンツを履いてるやつ?」 僕の頭には、桃太郎の絵本に出てくるような、あの鬼のイメージしか無い。 だから、あの黒い影を鬼だって言われても、ピンとこなかったんだ。
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