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安心したのはその日一日だけだった。 次の日、あの男の人が、やっぱり昨日と同じ場所で立っていたんだ。 ブロック塀の陰から、友達を見ている。 なんだか気持ち悪い。 僕の中で、いろんな物がぐるぐる回っているみたいだ。 ぐるぐる、ぐるぐる。 ぐるぐる、ぐるぐる。 『カナメ』 後ろから声をかけられて、ハッとして振り返る。 そこにはク……猫又先生がいた。 『鬼退治しますよ』 そんな怖い事をサラっと言われても、どうすればいいかなんて判らない。 すると、そんな僕の不安を悟ったかのように、こう言った。 『カナメは、あの男に声をかけるだけで良いのです』 え!? それだけ? 『じゃあ、頼みましたよ』 話しかけるのも怖いけど、戦ったりするのを想像してたから、それくらいなら大丈夫かな? そう思って、男の人の方へ、恐る恐る近付いていった。
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