☆第一章☆

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私の猫は、   どーこかな?    一人は辛いよ   出てきてよ...    また私と   遊ばない? なわとび、   かけっこ、     にらめっこ... ある東京に住む、12歳の女の子が、 部活帰りに毎日歌っている。 「晴香また歌ってるの?」 同級生の夢梨は、晴香に後ろから抱き着きながら言った。 「うん…。私馬鹿だよね。」 晴香は、猫を飼っていた。 猫の名前はフルート。 名前の由来は、 晴香が吹奏楽でフルートを吹いているからだ。 二年前、川に晴香の父親と釣りに行く際、 猫のフルートを連れていきたいと言い出したのが、 すべての始まりだった。 「パパ!見てみて! フルートがお魚さん見てはしゃいでるよ!」 父と晴香が笑顔で見ていたときに事件は起こった。 フルートが足を滑らせ川に落ちてしまった。 「ま…待って!今助けるから。」 飛び込もうとする晴香の手を父親は掴んだ。 川の流れは速く、 フルートは鳴きながら遠ざかり小さくなっていった。 その時のフルートの泣き声が、 晴香の脳に刻まれている..
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