真っ暗で小さな世界の扉はどこにあるの?

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ピタゴラスイッチのように、止まったボールの向こう側に何かがあったとして、僕はそのボールを押せば世界を変えられるとずっと思ってた。指先ひとつでも動かせば、動かない世界に変化が生まれて、その変化が新しい時間をつくるとずっと思ってた。 でもボールの先にある世界は指先ひとつで止められる。そのとき、気付いた。僕は指先ひとつの力しか持っていなかったことを。僕は世界を変える力がないことを。そして、大きな力がボールを押してきたとき、僕は砕け散る。振り上げた拳が砕け、僕の体も砕け散る。それでも、世界は何も変わらない。僕がバラバラになっても、誰の心にも残らない。世界に意志がない限り、世界が変わらない限り、僕はただ潰されるのを待つだけなのかな。信じた世界は、僕がいることで何かが変わるのかな。世界に僕は必要なのかな。
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