小さな命

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実家を離れて、9年という月日が流れた 高校卒業後、アパレル会社に就職し、働き続けた私 そして、二年前、中学の時から付き合っていた彼氏と結婚し、実家に帰ることも少なくなっていた私は、またいつものようにペットショップで一匹の猫を眺めている グレーの毛並みに大きな瞳の猫… ガラスごしにこっちを見ながら不思議そうな顔をしていた きっとそれは、私が涙を流していたから… 涙の理由はたった今きた、母からの電話が理由だった 実家を離れてから結婚するまでは頻繁に家に帰っていた… その理由はたった一つ… まだ私が子供だった時から実家で飼っていた、犬と猫に会いたいからだ… だけどそんなに頻繁には帰れないから、今日みたいに会いたくてしかたなくなると、こうやってペットショップでそっくりな猫や犬を探しては、ガラスごしに見つめていた  今、目の前にいる猫は、あまりにもそっくりで、今までの思いでが込み上げてきる もう、ずいぶん昔になる あの時からの思い出… あの時の…    
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