小さな命

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それから二週間後の出来事 いつもは家族全員で一緒に食べる食卓に、祖父と父親の姿がなかった 「お母さん、おじいちゃんと、お父さんは?」 私が聞いてみると、母親は何かを企んでいるような顔をしながら返事をした 「今日は、二人とも少し遅くなるから、先にご飯食べようね…」 祖母と母親は二人で顔を見合せ笑っている 弟はなんにも気づいていないようで、目の前の唐揚げをパクパク食べていた そんな食卓でも、また些細なことでケンカが始まる そう、いつもケンカしていた 我が家に家族が増えるまでは… ご飯を食べてテレビを見ていると、祖父と父親が帰ってきた 走って玄関にいくと、祖父の腕の中には小さな柴犬がいる 体を震わせ、新しい場所に警戒心と不安をもちながら、目をウルウルさせていた 「おじいちゃんこの犬どうしたの?」 私が祖父に聞くと笑顔の祖父はその小さな柴犬を、私に渡した 私の腕の中でブルブルと震える柴犬の頭をなで 「梨奈と大佑の犬だから、二人で可愛がりなさい…」 と、祖父は言う 私と弟に優しい気持ちをもってもらう為にきたはじめての新しい家族 柴犬のメス… はじめて飼ったその犬は、リブと名付けた  
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