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雅人が浮かない顔で走っているの見たおばあは、
「どないしたんや?」
と心配そうに聞いた。
雅人は
「おばあ、猫が大変!」
とだけ言い、止まろうとはしなかった。
後部座席にタオルごとそっと猫を寝かせ、助手席の足元へと手を伸ばす。
ちょうどくる時に買った牛乳を取るためだ。
だが
「それはあかん!!」
とおばあに手を遮られた。
「何んでなん?はよせんと」
雅人は、怒り口調で言った。おばあは、
「これは、あかん……」
と言い、
「ほなって……」
と雅人が発そうとした次の言葉を掻き消すように
「これにしぃ!!」
と粉ミルクを雅人の手の上に置いた。
雅人には、よくわからなかったが、一先ず、粉ミルクを溶いて、猫に与えた。
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