のら猫

3/3
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
のら猫が鳴き出してから、3時間が絶った。 「みゃぁーぉ……」 少々声が掠れ、勢いもあまり感じられないほど、弱々しい鳴き声が、辺りの芝生をそっと揺らす。 「もう鳴くな」 人間ならば、そう言いたくなるだろう。 でも、この丘には、こののら猫一匹しかいない。 だから、誰も止めてくれない。 このことをこの猫が知っているのだろうか。 ただ、弱々しいのら猫の声が響き続ける中で、そっと太陽は目を覚ました。 そして、太陽が起きるとのら猫は、鳴くのを止め、ごろんとその場でうずくまり、すやすやと寝息を立て始めた。 これが、一度目の休憩だった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!