出会う

4/9
前へ
/14ページ
次へ
学校や家での話し、畑の話し、いとこの話し……。おばあと雅人は、暇がないほど話しで盛り上がり、ルンルン気分で車に乗っていた。 「あ!!蜜柑山」 やっと蜜柑山が見えた。2年ぶりの再会である。どこか雰囲気が違う気がするが、2年もあれば、少しは変わることもあるだろう、と気に止めなかった。 そして、胸を弾ませたまま、蜜柑山に着いた。 窓から見える風景は、風景画ではない。車のドアを開ければ、もう、蜜柑山である。 自分の身体が、嬉しさと喜びで満ち溢れているのがわかる。 汗ばんだ手で一気にドアを押し開けた。 「おいしい」 蜜柑の香りで満ちた空気が雅人の中へと流れ込んでくる。一個、いや一房さえも食べていない蜜柑でお腹が満たされていく。そして、期待以上の結果に、心は、喜びで満たされていた。 そんな雅人を横目に 「ばあは、あっこの畑の様子を見てくるから、まぁさは、いつもんとこ行っといで」 と言った。 「うん」 これも、即答だった。 ニカッとして、文句を付けようがないほどの満面の笑みで。 おばあを畑まで見送ってから、雅人は、自分の目的地へと向かった。 毎回発見をさせてくれる、芝生の広場へと。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加