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翌朝。
「…目をお開きになられてください」
お鶴が、いつもの口調でそっと夫妻の耳元でそう囁いた。
「む…お鶴、どういたした」
眠たい目を擦りながら男が身を起こす。
続いて、女子。
「…お時間のほうはよろしいのですか?」
男はお鶴の言葉に、ハッとしたように腕時計に目を遣る。
「な、なんと、少々急がねばな。すまぬ、そして礼を言うぞお鶴よ」
「…滅相もございません」
そそくさと寝室を後にして、身支度を開始する。
「おはよー、お鶴ちゃん♪」
「…おはようございます」
寝起きからぽわんぽわんのにこにこ笑顔で挨拶を交わす女子は、朝食の準備に取り掛かった。
お鶴は昨夜自分が寝た部屋へと向かった。
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