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「ぬ?これはどういたした?」
朝食をもっさもっさとほおばる男の目の前に、丁寧に置かれた色鮮やかで美しい反物。
「…昨夜、私が作りました。これを持っていって、お売りください。自分で言うのも何ですが、きっとお金になりますよ」
クスッと微笑むお鶴。
「ふむ、では遠慮なくそうさせてもらおう。ありがとう、お鶴よ」
「…いえ、そのお言葉、貴方に丁寧にお返しいたします」
男は白米の最後の一口を口に入れると同時に立ち上がり、反物を抱えて玄関へと向かった。
「お仕事頑張ってね♪」
「…お気をつけて」
稚さ抜群、ぴょんぴょんと跳ねて手を振る女子と相変わらずのクールビューティーで頭をペコリと下げるお鶴。
「おぅ、ではな」
男は自宅を背に、いつもより若干急ぎ足で職場へ向かった。
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