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男が帰ってからの夕飯を考えながら歩いていると、聞きなれぬ甲高い音が聞こえてきた。
「何だこの異端な音は」
何かと思い音のする方に視線を向けてみれば、雀の罠(笊を木の棒で支えて獲物が来たらざるを落とす)にかかっている鶴が高らかに鳴き声をあげている。
「なんだ鶴か…鶴だと!?」
男は一度捕獲されている鶴から切った視線を再び繋ぎ、今度は鶴の方へとドタドタと駆け寄っていった。
それが怖かったのか、鶴の目と鳴き声は心なしか怯えているようにも見える。
すぐに鶴との距離わずか数十センチの地点に屈みこみ、捕まっている鶴をまじまじと見つめる。
相変わらず鶴はツノトカゲの身の守り方(目から血の様な赤い液体を飛ばす)を目の当たりにしてしまった幼稚園児のように怯えたままだ。
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