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「あ~今帰った」
帰宅した男が玄関の扉をガラガラと音を立て横にスライドさせる。
「おかえりなさいッ!」
それを見かねた女子(女子と書いて『おなご』と読む)が、満面の笑みで夫である男のもとへとてとてと走っていった。
「今日は晩ご飯何がいい?」
無邪気な顔をうさぎのようにちょこっと傾げ、男に問いかける。
「ずっと考えてたんだが、やはり鯖の味噌煮を頼む」
「あ、それ無理ッ♪」
男が練りに練りまくり練り倒したメニューはわずか一秒で玉砕。
ちくしょう、こんなことならあの鶴を持ち帰って来れば良かった…。
「えっとねぇ、お惣菜とお味噌汁とご飯なら今からでも出せるよっ!」
戸の脇で体操座りをして負のオーラを醸し出す夫に、空気を何一つ変えることなく声を掛けるロリ妻。
「ふむ、それは誠か」
それを聞いた男はスピャッと女子の方に顔を向け、目をキリリと光らせる。
「ではそれを頼もうか」
「うん、いいよッ♪」
男の依頼を快く了解した女子は、同じようにとてとてと台所へと駆けていった。
「ふふ、お前は今日もかわいいな…愛しておるぞ…」
女子の小さな背に向け、小さく吐いた。
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