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事件
"風"が来てから、"元ボス"と"チンピラ"の機嫌が悪い。
俺は、運が悪いらしい。
"元ボス"が俺の前方に陣取っていた。
ここで、あからさまに方向転換するわけにもいかず…俺は恐る恐る前進した。
案の定…"元ボス"は立ち上がり、俺に牙を見せてきた。
その時だ。
どこからともなく"風"が現れた。
"風"は俺と"元ボス"の間に立ち、"元ボス"に睨みをきかした。
俺を助けてくれたのだろうか？
俺は試しに"風"に向かって目を細めてみた。
すると…"風"も目を細め返してくれたのだ。
猫社会では、相手に危害を加えない合図として目を細める行動をとるのだ。
人間の中には、よく"目がネ"という、わざわざ目を見開いたように見せるモノをつけてる奴がいたりする。
人間という生き物は、よほど争いが好きな動物らしい。
ともあれ…これで"風"は俺の味方みたいなものだ。
"風"は見た目は傷だらけで怖そうだが…実際は優しい奴なのかも知れない。
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