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(カチン…カチャ…)
ナナが寝ていたら悪いと思い、出来るだけ静かに鍵を外し、ドアを開ける。
タタタタッ…
ナナ「にゃぁ~ん♪」
(おかえり~♪)
ユウタ「ただいまナナ♪元気になったかい?」
二人は抱き合った。
…なんて想像しながらニヤニヤ顔のユウタはドアを開けた。
タタタタッ…
ナナ「にゃーー!!」
ユウタ(おぉ♪予想通り?)
ドンッ!
ユウタ「ぐふっ?」
ナナは飛んで、ユウタの横腹を蹴飛ばし外に出て走り去った。
ユウタ「ぉぉ…ナナ…なしてじゃぁぁ…(泣)」
まるで、彼氏に捨てられた女みたいに玄関前で這いつくばるユウタ。
偶然にも、コンビニ帰りにその現場に出くわしてしまった不幸なアパートの隣人。
出来ることなら関わりになりたくない隣人。
鍵を出してさっさと部屋に入ろうとする隣人。
ユウタ「あ、どうもこんにちわ。」
さっきまで泣きじゃくっていたのにいきなり素に戻るユウタ。
ビクッとする隣人「え!?あ、…どうも…」
気付かれたくなかった隣人。
はやく、部屋に入らなければと焦る隣人。
ユウタ「今日はお仕事は休みなんですか?^-^」
荷物は散乱、女座りのままにこやかに話しかけるユウタ。
何故かそんなに親しくもないのにフレンドリーに話しかけられる隣人。
隣人「え、えぇ。そうなんですよ…(汗)じゃ、それでは…(苦笑)」
急いでドアを開ける隣人。
コンビニ袋がドアにぶつかる。
ユウタ「今日は天気がいいですねぇ。どこかお出かけされないんですか?」
こいつにそんなこと言われる筋合い無い隣人。
隣人「…えぇ。……バタン」
返事と共にすぐにドアを閉めた。
これ以上は御免だった。
袋の中では、さっき買ってきたプリンの容器が割れて、しかもマンガ本までもがグシャグシャになっている。
もう、今日という一日がホントに嫌になった隣人。
今日は一歩たりとも外に出ないと決意した隣人だった。
ユウタは初めて隣人と会話ができて大満足だった。
ユウタ「とりあえず、ナナが帰って来てもいいように準備しておくか。」
散乱した荷物を片付けながら、ユウタはさほど落ち込んでなかった。
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