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その日は朝から冷たい雨が降っていた
私は神社の前に止まっている車の下にいた。
周りは五月蠅いくらいにバチバチと飛沫を立て鳴っている…
いつから止まっているのか、不思議と車の中心部は濡れて無かった。
隠れて雨をやり過ごそう…
今日は土曜日。
あの人間がご飯を持って来る日だけど…
この雨では来ないだろうな。
神社からは公園までは【道】を使えば遠くない。
因みに【道】とは、個人の独特なルートのことで【猫の道】とも言う。
ネコ(…一応…見に行くだけでも…)
水に濡れるのを嫌う猫にとって雨の中、歩いて行くのは本来有り得ない事だが…
それよりも、その人間(定期的なエサ)との繋がりは惜しかった。
なるべく、屋根沿いに歩いて行く猫一匹
この雨のせいか人間の姿は無い。
しばらくして公園に着いたが、人間の気配はしない。
ネコ(…やっぱり、いない…って当たり前か…)
もしかして、と思ったが淡い期待だった様だ。
所詮、無責任な同情なんだろう。
よくある事じゃないか。
濡れた体をドーム状で穴の空いた遊具の下で身震いさせる。
ネコ(…やばー…少し濡れ過ぎたかな?)
体が完全に冷えきっている…
出来るだけ体を丸く丸くして眠る。
無駄に体力使わないようにしなきゃ…
「…ャリ…ジャリ…ジャリ…」
砂の擦れる音が近付いてくる。
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