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「……」
その途端、冷たい視線が一点に交わった。朱紅も唖然として何も言えない。
「嘘だよ。まぁ結局は何の薬かを忘れたんだがな」
あはは、と笑い飛ばす。
「じゃ、それだけ伝えに来ただけだから。じゃあな」
まるで台風のように朱紅の兄は去った……。
「結局この格好で外に出るのか」
結局服が見つからなかった朱紅はそのまま外出することにした。
雑踏で何も聞こえそうにない昼過ぎの駅前。朱紅は暇を潰すためにここへとやってきた。
やってきたはいいものの、何だか周囲の人間全ての意識が自分に注がれている気がして、朱紅は楽しくなかった。
自意識過剰なのかもしれないが、いやでも何故か気になった。
「ボクとお茶しない?」
「それ、何回言うつもり?」
「キミが笑うまで何度でも」
「見聞きしなかったことにしよ」
ちゃらい男を見限って歩く。
「待ってくれよ~」
朱紅は超絶スルースキルで無視した。
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