第一章。現実は小説よりも奇なり

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「……」 その途端、冷たい視線が一点に交わった。朱紅も唖然として何も言えない。 「嘘だよ。まぁ結局は何の薬かを忘れたんだがな」 あはは、と笑い飛ばす。 「じゃ、それだけ伝えに来ただけだから。じゃあな」 まるで台風のように朱紅の兄は去った……。 「結局この格好で外に出るのか」 結局服が見つからなかった朱紅はそのまま外出することにした。 雑踏で何も聞こえそうにない昼過ぎの駅前。朱紅は暇を潰すためにここへとやってきた。 やってきたはいいものの、何だか周囲の人間全ての意識が自分に注がれている気がして、朱紅は楽しくなかった。 自意識過剰なのかもしれないが、いやでも何故か気になった。 「ボクとお茶しない?」 「それ、何回言うつもり?」 「キミが笑うまで何度でも」 「見聞きしなかったことにしよ」 ちゃらい男を見限って歩く。 「待ってくれよ~」 朱紅は超絶スルースキルで無視した。
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