第一章。現実は小説よりも奇なり

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「え……?あ、ごめんなさい。汚れてたから洗っちゃった。でもそのままでいいんじゃないかしら?」 「……え!?じゃあこの格好で外に出ろってか?(もうパジャマで一回外出したが)ふざけんじゃねぇ、他の服出せよ他の服。あるだろそれくらい」 「朱紅の服昨日全部洗っちゃったんだ、あはは」 母親が申し訳なさそうに愛想笑いを浮かべる。 「わざとに違いない」 その横で一人暮らしをしている兄貴がぼそっと露にした。 「……わざと!?ていうか兄貴いつの間に!」 朱紅が兄を見ると何やら苦そうな顔をしていた。それは朱紅の姿が原因だと、間隔からわかった。 「あぁーーっ、のとこからずっといたぞ。というか聞いたぞ、お前あの会社の薬で女になったんだってな。前々から怪しいと思ってたがまさかお前も臨床実験の被害者になるとはな……」も、に疑問を抱いたが無視した。 「言わないでくれ」 朱紅は机に先ほどと同じように伏せた。 だけどバイトおかげで貯金が1000000ほどあるわけだが。 「まあかくいう俺も被害者だがな」 「えっ?」 一家団欒の空気が一瞬にして凍り付く。全ての視線が兄に釘付けにされた。 「あ、兄貴……?」 情けない声が朱紅の口から出る。 「……異性にモテモテになる薬さ」
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