第一章。現実は小説よりも奇なり

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なんとか、校門が閉まる直前に滑り込むことができた。 やれやれ、一苦労だ。さて、教室に行かないと……。 一年生は四階なので四階へ向かって昇る。 これがまあなんとも諸苦労で一日の元気がまずここで吸い取られる。 無口な他人と階段を登り切るとわが教室、四組に辿り着いた。 「おはよー」 俺は普段と同じように挨拶したつもりだったが、返ってきた反応はいつも通りではなかった。 当たり前だ。知らない女生徒が入ってきたんだから。俺は今になって自分の記憶力と注意力の無さを呪った。
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