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｢あっ、おはよー……あれ？｣
女生徒がおかしな返答をする。
扉の前で談笑でもしていたのだろう、四五人の生徒がそこに集まっていた。女生徒は間の抜けた顔をしていた。
｢えっと、誰……ですか？｣
手を口元に添える仕草。自信のない質問が飛んできた。
｢あ、えっと…。俺は…｣
｢どこのクラスの人、ですか？｣
｢あれ、見かけない顔ー。誰さん？｣
｢お、かわいー｣
朱紅の返事を待たず、どんどん人が集まり質問が重なる。
周りの人間の目は好奇心に満ちており、息着かせる様子を与えない。
こ、これは……逃げるしかない！
｢し、失礼しましたっ！｣
朱紅は背後にダッシュする。と、いきなり何かにぶつかった。
｢うわっ！？｣
朱紅はその反動で１メートルほど後ろに滑りながら退がり、尻餅をついた。
｢痛～……｣
朱紅は臀部を丁寧に擦ってはみるが効果はあまり見られないようだ。
｢あの…大丈夫ですか？｣
朱紅は心配して話し掛けてきた人物を見上げるた。それは、朱紅が驚くのも無理なかった。
｢大丈夫です……って！？｣た、橘！？
ぶつかったのは橘だった。こんな姿がこんな姿なのでできれば一番会いたくなかったと、朱紅は思った。
｢え、なんで俺の名前……。｣
や、やばい。逃げろ！
全ての言葉を聞く前に朱紅はその場から逃げ出した。
でも、どこに行けば……？もうすぐ授業も始まるし廊下や階段なんて……。
走りだしてから向かう場所を考えていない事に気付いた。
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