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行く宛もなかった朱紅は、固い音を立てながら、階段を登り、屋上へと向かっていた。
屋上なら、誰もいないだろうし、取り敢えず一時しのぎにはなるけど……。
「はあ…、どうしたもんか…。」
思わず逃げ出してしまったけど、このことをどうにかして解ってもらわなきゃいけない。
朱紅は冷たいコンクリートの上で仰向けになった。
空には、六羽の鳩が青空を羽ばたいていた。
なんか……、眠くなってきたな。
朱紅は微睡みに取り込まれる瞬間、遠くから声が聞こえた。
呼び起こされ、頭を上げようとすると額に衝撃が走った。
「うっ」
「ぐっ」
「痛った……」
な、なんだ!?
「痛い……」
痛みに額を押さえていると脇から先ほどの声が聞こえた。
「えーと……。」
確かさっき頭に衝撃があったから恐らくは上から覗き込んでいたに違いない。一体、誰だ?
朱紅が改めて右脇を見ると、長い赤い髪の毛が見えた。
つり目でおとなしそうな女の子が痛そうに額を押さえている。
朱紅は上履きに赤いラインが入っているのを見て、同じ一年生だと理解した。
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