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「……誰と言われても」
先程まで、朱紅は焦点が定まらなかったが、よく見ると身長140cmくらいの小さな女の子だった。おとなしそうな顔ではあるが、無表情でまとまってないポニーテールを携えている。
「……あなたは何でこんな所にいるの?」
無機質な口調でじっと覗き込まれてくると、大きな瞳に吸い込まれそうになっていく。
「何でって……、教室に入れないからだよ」
素直に、心の赴くまま答えた。
「何で?」
ずい、と質問を重ねてくる。
く、食い付いてくるな……。
「ち、遅刻したから、かな」
都合のいい理由が思い浮かばずに力ない訳が飛び出していく。
「そう……。」
聞き終えると納得したのか押し黙ってしまった。
だが、まだ視線が外れない。
「……。」
なんなんだ……?
そのまま小一時間が流れていく。
「あの…、まだなんか…用があるの…?気になって仕方がないんだけど…」
「……見えてる。」
そよ風にさえ掻き消されそうな声で呟いた。
「白いの。」
「白いの…?一体何それ…。」
朱紅は疑問に感じたが、すぐに紅の彼女が立ち上がりその場を離れていった。
見てみるとなんてことはない、自分より頭一つ分も小さかった。
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