〈 1 〉出会いのプラットホーム

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その歌う声に 心を奪われた。 癒されるではなく 心地よいでもなく まるで心ごと、突風がすくっていったかのようだった。 曲は何度となく耳にしたことのある『エーデルワイス』なのだが、彼女が歌うとまったく違うものに思えた。 先程までのうるさい雨音がウソのように消え、僕は目を閉じて聴き惚れた。 「ありがとうございました」 彼女は審査する立場の先生に対して言ったのだが、教室中が勘違いをした。 それがまるでプロの歌手がコンサートの最後にする挨拶みたいだったから。
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