〈 1 〉出会いのプラットホーム

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「悠くん、さっきの電車乗らなくて良かった?」 「うん。この後べつに用事ないし」 美和が気を遣って聞いてくれたので、好意に笑顔で答えた。 一応、次は何分に電車が来るかと立て看板風の時刻表に目をやった。 どくん 僕は息をのんだ。 時刻表の後ろから、とりわけ気になる人影が現れた。 美和と同じ制服を着た女の子― 人の群れをかき分けるように駆け足でやってくる。 僕が思うより速い。 直感的に  こっちへ来る と感じた。 僕の目を惹きつけた彼女の雰囲気には、肌に覚えがあったからだ。 その曖昧な印象は、 即座に彼女の名前を呼び起こす。 「藤堂 …」 .
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