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帰りの挨拶のあと、僕は一番に教室を出た。
傘を持ってなかったし、これ以上くだらない話を聞くのはごめんだから。
冬の寒空の下、少し早足で帰っていた。
「おいおい、友達をおいて行くなんてひどいやつだなまったく」
いきなり後ろから声をかけられて驚いたが、ハルにそんな姿を見られるのは悔しいので我慢して抑え、涼しい顔をして振り向く。
「一緒に帰る約束なんてしてなかったし、今日は一人で静かに帰りたい気分だったからね。それに、どうせハルだってウワサ話を話したいだけでしょ」
「おぉ、流石付き合いが長いだけあるな。その通り、昨日調べあげた成果をお前に自慢したくてな」
「付き合いが短くても、そんな好奇心に満ちた目をしてれば分かるよ」
「そうだったな。まったく、便利な特技を持ってるよな、お前はさ」
「そんないいもんじゃないよ、これは」
そう言い捨てた僕の後ろをため息をつきながらハルがついてきたが、気にせずに帰り道を進むことにした。
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