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やっと昇りきって廊下を歩き出そうとしたその時、資料室などのある5階の方から声が聞こえた。
「治…もっとキスしてよ」
階段を見上げると黒髪の顔の整った男が派手な女を壁に押しつけている。
相手は14号か…
「まだ足りないの?わがままだね。」
クチュックチュッと粘着質な音が聞こえる。
「ン…だから治って好き」
あたしはものすごい嫌悪感にみまわれ、立ち尽くしていた。
こういう時のあいつは大嫌いだ。
一瞬男の視線がこっちを向きそうだったのであたしはその場を足早に去った。
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