花街物語

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花街物語

惚れたも腫れたも寝起き頃の戯れ言 そんなコドモ騙しはとうの昔に忘れたさ 行灯<あんどん>の灯りが消えたら一仕事 揚代<せんこう>の煙りが香る 眠らない二つ枕 また白粉と紅で繕って 明日<あす>のオトコを待っているだけさ ここはお江戸の郭<くるわ> 籠の鳥は外じゃ生きられない 今日の夕日も綺麗だよ 勝つも負けるも花一匁 オハグロドブ地獄絵図 響き渡る鐘に開かれる大門 うたた寝の夢に見たあの人の陰を振り切り 袖 懐に香を焚いて 見世<みせ>で色 愛想を振りまく あたしは花の花魁<おいらん> 籠の鳥の自由は十年後 今日もその日を夢に見て 惚れたも腫れたも現でしたい これはきっと長い悪夢 今宵も眠れず終い 春の苦界 中の町<なかのちょう> 籠の鳥は外じゃ生きられない 今日の夕日も綺麗だよ 勝つも負けるも花一匁 オハグロドブ地獄絵図   【H20.9.24.作】
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