捨てられたねこ

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捨てられたねこ

 私は暗くて狭い部屋から出た。    不思議と眩しくはない。    薄暗くて、静かで、光が上から丸く降りてきている。    それは他の星よりも明るい星が私の近くを照らしている。    お腹が空いた……。    私はぼろくて薄い絨毯の上に包まった。            私は差し込む日差しで目を覚ます。    お腹の減りは止まっているが、今だにお腹の虫が鳴き止まない。    ふと、日陰になった。    私は顔を上げ、箱の外を見る。    そこには黒い何かがいた。    私はギョッ、と身を震わせる。    外形は最近見た事がある。あ、あ、るるあ、る。    一瞬、最近の情景が頭を過った。    それは恐ろしいモノ。怪物。化け物。そんな言葉が浮かぶ、アレ。    黒い何かはそれに近い形状をしている。      ……怖かった。      一言では終わらない恐怖が、耳から髭、肉球、爪の先までを震わせる。    私は箱の奥へ逃げた。    微かな距離だが、それでも少しだけ恐怖は和らぐ。      黒い何かは近寄る。    震えは更に上がる。    私は死を感じた。        ……だが、それは杞憂に過ぎなかった。
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