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次の日から、私の身は暖まってきた。
彼女が毎日来てくれるからだ。
パンやミルク等の食糧や、毛布、雨の日には傘を持ってきてくれたりもした。
だが、彼女の住む家には連れていかれなかった。
多分、親兄弟に私を嫌う人がいるのだろう。
……私を捨てた人間と同じく。
「……めんね、う……ね……て……っ」
分かっている。
「……ん……きっ……と……」
私は悲しそうに鳴き声をあげた。
彼女の頬に涙が流れた。
その日を境に、彼女がここに来る回数が減っていった。
疑問には思わない。
私を嫌う人間が彼女を止めていると私は思っているからだ。
だが、私は悲しい。
また、捨てられるのか、と。
私は彼女の事が好きだ。
裏切ろうとしない黒い瞳に魅かれたからだ。
でも、それでも、仕方なく裏切る人は嫌いだ。
『彼氏が~猫嫌いなんだってぇ~だからぁ~ごめんねぇ~アハハ』
私の脳裏にこびり付いた言葉が周りに浮遊する。
『あぁ清々したぁ。猫飼うのも楽じゃないってかぁ? アハハアハハハハハハハハ』
……彼女も、そうなのか?
……違う、と信じる事にしよう……。
私は雨の中、眠る事にした。
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