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北風がひときわ冷たくなり
木々に電飾が飾られるようになった頃
ボクはいつものように
カラスを横目に路地裏を徘徊していた
ボクの大好きな場所
雑居ビルの特等席で少し星空を眺めて
寝床に戻ろうとビルの隙間を潜り抜けて顔を出すと
ボクの目の前に
真っ黒いものが飛び込んできた
恐る恐る出てみるとそれは人間のカラスだった
けど変なんだ
ボクの見ていたカラス達は
いつも女の子にガーガーうるさく話しかけているはずなのに
このカラスは壁にもたれて座ったまま動かない
仲間に聞いた
寒さで死んでしまったというホームレスの事を思い出した
まさか死んでるんじゃないだろうな?
ボクでさえまだ寒さを我慢できているのに
普段なら絶対近寄らないカラスに
どうしてそんな事をしようと思ったのかわからない
星が綺麗で優しい気持ちになっていたからかな?
ボクは自らカラスに近付いた
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