星に願いを

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ボクは 首輪をつけて 安心した毎日を過ごしてる飼い猫が羨ましかった …トラキチ… 立派な首輪を付けて たまにビルの中から飼い主に抱かれて姿を現す飼い猫… 会うとよく会話をしていた 「見てくれよ小僧… これセンス悪いだろ?」 ダルそうにボクに話しかけてきたトラキチは 毛糸で作られたケバケバしい派手な洋服を着せられてた 「どう思う?これ… 首輪だけで勘弁してほしいぜ」 ボクはちょっと笑ってしまった トラキチの洋服は 色とりどりの毛糸で編まれていて キラキラ輝くたくさんのネオンをボクに連想させる… そう、まるでこの街そのものみたいだ 「まったく…悪趣味にもほどがある」 『温かそうだね 最近寒くなってきたしさ』 ボクの言葉にトラキチは ため息をついた そしてこう言ったんだ 「俺は着せ替え人形じゃないのさ 自由な小僧が羨ましいよ」 って…… ボクに気付いたトラキチの飼い主が ボクに向かってチクワの欠片を投げてくれた トラキチの飼い主はとても優しそうにボクには見えた  けど近付いたりはしないよ ボクは人間が怖いから チクワをくわえてその場を去った    
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