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黒羽
「お~い!!止まれ白菜!!」
白菜
「……。」
白菜は聞こえていないかの様に、俺の50歩ほど前を走っている。
その差は一向に縮まらない。
黒羽
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
黒羽は全速力で走る。
しかし、白菜もまるで合わせているように一定距離を保っている。
黒羽
(おかしい……流石におかしい)
黒羽は走りながら考えていた。
黒羽の足が遅いとはいえ、今の速度は女子が追いつける速度を軽く越えている。
すなわち、白菜は(よっぽどの化物でない限り)限界を越えて走り続けている事になる。
黒羽
(もしかして……)
黒羽の中に、一つの仮説が生まれた。それをクロハネの"能力"と照らし合わせたとき、それは確信に変わった。
黒羽
「ならば!!!!」
黒羽は突如足を止めた。
それに"合わせるよう"に白菜も歩みを止めた。
そのまま黒羽は後ろに数歩退がる。
白菜はそれに"合わせて"いるように下がってみせた。
黒羽
「そんなことだと思った。
つまり、最初から偽物だったわけだ。」
前に立っている白菜は蜃気楼のようなモノなのだ。
黒羽と一定距離を保ってある場所へと誘導するための。
黒羽
「この先にあるもの…それは――」
白菜の家。
すなわち、白菜と反対方向へ全力で走らされていたのだ。
黒羽
「馬鹿馬鹿しい…俺も……。」
黒羽は最悪の結末を予想して、"追ってくる"蜃気楼を気にせず走りだした。
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