シアワセのカタチ

7/11
前へ
/51ページ
次へ
「私……何を間違ったんだろ。彼の為に頑張ったつもりだった。可愛くなろうとした。綺麗になろうとした。それでも結局、彼は私を見なくなった……駄目だったの。こんな落ちぶれた私をデートに誘おうなんて男の人、いるわけないじゃないの」  こんな時、なんて言葉をかけるのが正しいのか。  「あなたみたいな綺麗な人なら、そんな男の一人や二人必ずいます」なんて、格好良い事なんていえない。  どれが正しいかなんて分からない。俺はまだ二十数年しか生きていないし、ましてや男だし。  でも、これ以上悲しむ彼女は見たくない。 「……俺が誘いますから」 「え?」  正しいかどうかなんて分からない。だって、これに答えなんかないから。 「俺があなたをデートに誘います。俺みたいなのが、あなたと並んだら不釣合いにも程があるけど、精一杯俺なりに頑張ります。だから……泣かないでください」  俺自身、本心かどうかも分からなかったけれど。 「……優しいのね」  この言葉に彼女が、ほんの少しだけだけれど、笑ってくれたから。  ……が、この一言で彼女が後にとんでもない言葉を発することになる。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

64人が本棚に入れています
本棚に追加