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「私……何を間違ったんだろ。彼の為に頑張ったつもりだった。可愛くなろうとした。綺麗になろうとした。それでも結局、彼は私を見なくなった……駄目だったの。こんな落ちぶれた私をデートに誘おうなんて男の人、いるわけないじゃないの」
こんな時、なんて言葉をかけるのが正しいのか。
「あなたみたいな綺麗な人なら、そんな男の一人や二人必ずいます」なんて、格好良い事なんていえない。
どれが正しいかなんて分からない。俺はまだ二十数年しか生きていないし、ましてや男だし。
でも、これ以上悲しむ彼女は見たくない。
「……俺が誘いますから」
「え?」
正しいかどうかなんて分からない。だって、これに答えなんかないから。
「俺があなたをデートに誘います。俺みたいなのが、あなたと並んだら不釣合いにも程があるけど、精一杯俺なりに頑張ります。だから……泣かないでください」
俺自身、本心かどうかも分からなかったけれど。
「……優しいのね」
この言葉に彼女が、ほんの少しだけだけれど、笑ってくれたから。
……が、この一言で彼女が後にとんでもない言葉を発することになる。
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