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「世の中の男、全員あなたみたいなのなら良いのに」
「え?」
「そうしたら世の中の女の子、みぃんな幸せになれるわね」
……え、俺? 何で? 今まで何度も「つまらない」って理由でフラれた、この俺なのに? っていうか落ち着け、俺。本心でこんな事言うはずがない。
そうだ、彼女は酔ってるんだ。
気付いた頃には、時既に遅し。俺はどんどん熱くなる顔を、隠せないでいた。
目の前の、名前も知らない彼女に惚れた瞬間である。
結局その時はその場で別れてしまったのだが。
ある日偶然、再会したのである。とある小さな喫茶店で。本当に、持っていたカップを落としそうになるほどに驚いた。
「お久し振りです」なんて声をかけたら。彼女はあの時よりずっと穏やかな顔で、にっこり笑ってこう言った。
「誰ですか?」
……そうきたか……。
なんて、落ち込んでる場合じゃない!!何万人、何十万人もいる首都東京で、偶然にも再会できたんだから。
「約束、したんです」
「約束?」
「はい。その……俺が、あなたを……」
これはきっと、神様がくれた最後のチャンスなんだから。
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