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そしてちょうどその頃、会場とは別のところでこの光景を見ている者がいた。
「いよいよ始まるな」
「えぇ…そうですね」
会場の近くにあるとある建物内でその者達は会場に設置されているカメラから送られる映像を見ていた。
映像を見ている者は20代後半の男と10代ぐらいの女であった。
「この大会……君にとっても…君が考えたあの機体にも特別なものになるだろうね」
「はい…そうですね」
女の方は男に比べて元気の無い様子であった。
「……………………やはり…君はこのやり方が気に入らないようだね」
「はい、隊長……私は…正直言ってこの大会の出場者からこの…私の設計した『07』の搭乗者を決めるやり方に納得ができないです…」
「『07』……か…」
隊長と呼ばれた男は会場とは違う映像を見た。そこには暗くてわかりにくいが何かがあることは確かであった。
「私もはっきり言ってこのやり方には賛同はできそうにない。しかし、上からの命令とあれば受け入れるしかないのだよ…」
「はい……わかってます…」
「今の我々にできることはこの大会の行方を黙って見ているしかないのだよ…」
そして男は会場を映し出している画面の映像を見つめた。
ちょうど会場では1回戦が開始されている頃だった。
(はたして…この中から選出された者が使えるのだろうか…上は何を考えているんだ…)
男は上のやり方に疑問を感じたが今はどうすることもできず、椅子に座りその映像を眺めるのであった。
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