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そして大会は徐々に進行していった。
リーグ戦から始まり、勝ち上がった者達で行われる決勝トーナメント。
1回戦、2回戦、準々決勝、準決勝と進んでいきそしてついに決勝である。
『さぁ!!いよいよA.R.S.B.決勝戦が始まります!!』
司会者の言葉に会場は大いに盛り上がっていた。
それもそうだろう。この試合で大会の優勝者が決まるのだから当然のことである。
そして会場に二人の男が姿を現した。一人は体格の良さそうな男でもう一人は細身の少年だった。
二人が姿を現した途端に大歓声が会場に響き渡った。どうやら二人は決勝に勝ち上がった選手なのだろう。
二人が会場の真ん中に設置されている対戦用のシミュレータの前に立つと司会者がマイクを片手に話し出した。
『さて、では決勝に勝ち進んだこの二名の選手の紹介をしよう!!まずは前大会の優勝者でもあり、今大会の優勝候補でもあるこの人、ヨシトぉ・カタヤマぁ!!』
司会者は体格の良い男の方を見てそう言った。流石、優勝者とあって人気があるのか周りからの歓声が凄まじかった。
『そして一方!!こちらの選手は今大会が初参加!!リーグ戦から順調に勝ち進みここまで上り詰めた今大会きってのダークホース!!その名も…』
司会者は少し間を開けてそしてこう言った。
『アキラぁ・クレナイぃ!!!!』
なんと、あのアキラが決勝まで勝ち進んでいたのであった。
アキラの名前が会場に響き渡るともう一度歓声が沸きだった。
会場が盛り上げる中、アキラと前大会の優勝者であるヨシトは互いに見つめあっていた。そしてヨシトが口を開いた。
「まさか対戦者がこんな子供だとはな。思いもしなかったな」
「………………」
アキラはヨシトの言葉に反応もせずただ黙っているだけだった。
「どうした?怖じけづいたりでもしたんじゃないよなぁ」
「……………あんた…歳はいくつなんだ」
「と、歳だと…オレは28だが…それがどうかしたのか」
「いや、いい歳した大人がこんなゲームにはまっているとは…と、思ってな」
そう言ってアキラはシミュレータの中へと入っていってしまった。
「こ、このクソガキが…ただではすまさん!!」
ヨシトももう一方のシミュレータの中に入っていった。
そして二人が入ったのを確認したかの様に入口の扉が閉まった。
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