始まりの狼煙

6/15
前へ
/23ページ
次へ
会場の中に入ると中は冷房がついているのか弱冠涼しくなっていた。 「おーい、アキラ」 受け付けのところへ行ったコウが手に何やら小型のテレビの様な物を持って戻ってきた。 「コウ、それは何だ?」 「参加証みたいなもんだ。それとこの大会に使用する機体の設定ができるようになっているんだ」 そう言ってコウはアキラにそれを渡した。渡されたアキラは受け取るとすぐにそれを起動させた。 すると画面に先程見た機体、AR-05 ガリオンが映った。 「それでこいつも渡しとくよ」 コウはポケットからペンの様なものを取り出した。 「この機械はタッチパネル式になっていて、それで機体のどこかに触れば武器を選択できるようになっているらしい」 試しにアキラは機体の右腕部分をペンで触れてみると画面に武器の絵が出てきた。 「なるほどな」 他の部分も触ってみると様々な武器が表示された。 それを一つ一つ選別しながら見ていると、コウが後ろからアキラの肩に手を置いた。 「どうした。他にも用件があるのか?」 「使う武器が決まったかなぁと思ってさ」 「そんなに早く決まる訳がないだろ。そういうお前はどうなんだ」 「オレはもう終わったぜ」 「……………ちょっと見せてみろ」 アキラはコウからその機械を受け取り画面を見た。 「どうだ、オレの機体は?」 画面を見るアキラの肩から覗くコウ。 そして確認が終わったのかアキラはその機械をコウに返した。 「威力重視で遠距離武器中心の機体に仕上がっているようだな」 「そうだろ。これで優勝は確実だよな」 「いや、1回戦敗退の間違いだ」 「え?」 コウは一瞬アキラの言っていることが理解できなかった。 「こんな武装では機体のバランスがとりにくい。バランスが崩れたところを狙われて終わりだな」 「うっ……じゃ、じゃあお前はどうなんだよ!!」 自分の機体に文句をつけられたコウはアキラから機械を奪い取った。 「えーっと……って、お前の方がよっぽど優勝できそうにないじゃないか!!」 「これぐらいがベストだ。下手に武装を多くつけるよりかはな」 そう言うとアキラはコウから機械を取り上げて休憩のできるスペースへと歩いていった。 そしてコウもそれに着いていくのであった。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加