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するとじいさんが珍しく怒った。
「こら!しま。こんなにかわいい子を泣かしてはいかんじゃろ。ほら、せっかくお前が鯛焼きを買って来てくれたんじゃ、温かいうちにたべようなぁ。?…しかし参ったしまに2つしか頼まなかったわい。どれ先に…冬季おあがり」
そして一匹をその子供に渡してしまった。すると子供は嬉しそうに受け取り、じいさんの横に座り直して鯛焼きを頬ばり始めた。そしてもう後一匹しかない。だから俺の分は無いのだ…と思ってカゴをそのまま置いて歩きだしたんだ。
だが、そこでじいさんが呼び止めた。カゴならじいさんが片付けておいてくれと言わんばかりに振り返って見てやった。「しま、ほらむくれてないでおいで。一緒に食べよう」
そうして半分になった鯛焼きを差し出してきた。じいさんがそう言うんじゃしょうがないと思って鯛焼きを取りに行く。しかし、じいさんが俺に渡そうとした方はじいさんがいつも楽しみにと、最後の方に食べる頭側だった。
だから俺はあえて、反対側のを奪うようなかたちでもらったんだ。
「何じゃしま。お前もあんこがいっぱいのが好きじゃろ」
あえて俺はその言葉に耳を貸さず、かってにじいさんの隣に座って食べ始めた。
「そうかそうか。お前は優しいこじゃからのぉ。ありがとうしま」
「ニャー」
仕方ないからそこだけは返事をしてやって俺は鯛焼きを食べ続けた。
そして今に至る。
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