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晴れ渡る青空、清々しい風。
そんな素敵な日和は誰の心をも和ませる。
「ママー!あのおじちゃん怖い!!」
「しっ、見ちゃいけません。」
それは子供に指をさされ、奥様方にちらちらと見られている男、片倉小十郎にも同様だった。
見た目はヤクザ並みだが、休日には菜園の手入れを欠かさない、根はとてもいい……
「てめぇら!なに玉蹴りなんてしてやがんだ!!他でやれぇ!!!」
はい、とてもいい人なんですよ、はい。
ごぼうを振り回しててもいい人なんです。
そして片倉さん、ここは公園です。団地の中にある公園です。最初は5分の1の約束だったのに、いつの間にか3分の2の面積を占めていますが、ここは菜園ではなく公園です。
「うっし、そろそろ政宗がお昼寝から目ぇ覚ますな。」
どっこいしょ、なんてオヤジ臭い……げほんごふ。漢気溢れる掛声と共に立ち上がれば、いそいそと収穫した野菜を片手に我が家を目指す。
ドアの前まで来てみれば、案の定、中からは元気な泣き声が。
「すまねぇな、政宗。
これから昼飯用意するからな。」
「あー」
抱き上げて背中におぶれば、嬉しそうに手足を振り回す政宗。めいいっぱい手足が小十郎にヒットしていますが、目に入れても痛くない(実際に入れればとんでもなく痛いが)政宗の攻撃です。痛くも痒くもありません。
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