猫だった男

4/6
前へ
/64ページ
次へ
 馬田はそんな夜想を暫くぽかんと見ていたがやがて仕事を思い出すと質問を始めた。 「失礼ですが夜想さん、ご職業は何をなさっておられるのでしょうか? 差し支えなければお教え願い致します」 「……バンドを、音楽活動をしています、ね」  夜想は片方の眉毛をピクッと動かすと更にこう続けた。 「まだ名前もそんな売れてないんですけどね、一応事務所入ってて地元でライブやったりCD売ったりはしてますね」 馬田は「あぁ正にイメージにぴったりですね」と言いながら夜想のパートを聞いた。 「ギターです。 最初はヴォーカルやってたんですけど、どうも猫声が酷いみたいで……」  夜想は苦笑して若干悔しそうな顔をした。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加