猫だった男

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  ―3年前―  沸き上がる観客席とライトアップされたステージ。 ライブ会場は今にも簡単にゆで卵が出来そうな程熱気に溢れていた。 「みんな次の曲行くぜー!!」 「「「いぇぁ!!」」」 「一緒に歌おうぜー!!」 「「「いぇぁ!!」」」 「行くぜ『ごった煮クエスト』ーーー!!!」 「「「キャー♪!!!」」」  ファンと一つになった夜想がいた。 「がぁ゙にゃ゙~のま゙ゆ゙に゙ゅいってっヘイ!!♪」 (((えぇ……なんて??)))  歌詞が聴き取れない観客達。 ――――…‥・ 「あの後観客席からマタタビが飛んで来ましてね、泥酔状態で会場にダイブして骨折したんですよ……」  夜想は顔の前で指を組んで懐かしむように眼を閉じて回想していたが、再び眼を開けると目だけで馬田を上目に見て次の質問を促した。
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