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毎日毎日、お母さんは帰って来なくて少女が来た。
雨が降っても雪が降っても来てご飯を置いていった。
段ボールやタオルもくれた。
正直たかが猫相手にやり過ぎではないのかと思う。
――でもそれもまだ日常の内だった。
「レイちゃんこれなーんだ?」
ある夏の日、少女はぼくに変な形の棒を見せて訊いてきた。
勿論分かる訳がない。
「良いこと思いついたから、レイちゃんにびっくりプレゼントだよ!」
日本語で話して下さい。と思っていたら彼女は奇妙な言葉と動きで棒を振り回し始めた。
「ッテコレ・オデンヤ・ナイカ~イ!」
どっかで聴いた感のある台詞と共にこちらに向けられた棒。
鼻の先に付きそうな程近かったので手で払い除けた。
……手、で?
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