689人が本棚に入れています
本棚に追加
暗闇に溶け込んでおり、目だけが光っていた。
猫は警戒するように女を睨み付けながら、大村を守るようにしてアスファルトに降りる。
たまにこちらも見る事から、川辺にも気付いているのだろう。
「目撃者はあんたって事ね」
女は白と黒の虎縞に向かって言った。
女が短いため息をついた瞬間、辺りが白く閃いた。
すぐに耳をつんざくような雷鳴が轟く。
稲光によって女が照らされた。
色白の肌に大きな瞳。小さい鼻と口。
唇は厚くどこか色っぽい。
(なかなかいい女だ……)
できれば違う場所で出会いたかったと川辺は密かに思った。
最初のコメントを投稿しよう!