ネコババ

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そう考える方が自然だった。 そして、轢き逃げの検挙率の高さを考慮しているなら、死体を放置しない事は最善策と言えた。 警察の科学捜査は素人の想像の域を越えている。 痕跡を残すから轢き逃げ犯は捕まるのだ。 ちょうど格好の雨が降ってきた。 多少の痕跡は洗い流されるだろう。 思った以上に冷静な女の動向に驚きながら、川辺はナンバープレートを確認した。 目をこらしながら手帳にメモする。 もし、女が隠し切ったら、ゆすりをかけるつもりだった。 それにより、大村から借り損ねた分の金額を穴埋めできる。 女以上に川辺は冷静だったが、猫がいなくなった事には気付いていなかった。
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