猫撫で声

2/7
前へ
/53ページ
次へ
携帯の着信音が鳴っている。 目を覚ました私は昨夜の出来事を一気に思い出した。 できれば夢だと思いたかった。 でも、それが夢でない事まではっきりとわかる。 闇で見開かれた猫の目が、深く脳裏に突き刺さっていたから。 まるで全てお見透しだと言わんばかりに。 私は我に返ると携帯を開けた。 可奈子からの電話だった。 そういえば、昨日あれからかけ直すのを忘れていた。 二度、深呼吸してから電話に出る。 「もしもし、いずみ? 昨日電話したんだけど……」 「ごめん、気づかなかった。飲みに行ってたから」
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

689人が本棚に入れています
本棚に追加