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携帯の着信音が鳴っている。
目を覚ました私は昨夜の出来事を一気に思い出した。
できれば夢だと思いたかった。
でも、それが夢でない事まではっきりとわかる。
闇で見開かれた猫の目が、深く脳裏に突き刺さっていたから。
まるで全てお見透しだと言わんばかりに。
私は我に返ると携帯を開けた。
可奈子からの電話だった。
そういえば、昨日あれからかけ直すのを忘れていた。
二度、深呼吸してから電話に出る。
「もしもし、いずみ? 昨日電話したんだけど……」
「ごめん、気づかなかった。飲みに行ってたから」
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