猫撫で声

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額から汗が雫となって流れる。 「え? 先生の所に行かなかったの?」 不思議そうに尋ねる可奈子だけど、深い追及は感じられない。 「う、うん。仕事も遅くまでかかっちゃって……」 そう言いながら、私はベッドの横に置いてあるノートパソコンを、寝そべりながら立ち上げる。 「あ、そうなんだ。私も早く帰ったからいずみはどうしたのかなと思って」 「今年は行かないでもいいかなって」 私はあの時間帯に別荘へ行っていない事をアピールした。 パソコンの画面で新聞を広げる。 死体が見つかったような記事は一切なかった。 私はほっと胸を撫で下ろした。
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