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中、高と空手で慣らした川辺桂太(かわなべけいた)にとって、40を越えた小柄の大村敏行(おおむらとしゆき)を殺害するのはわけもない事だった。
経営する中華料理店の運転資金に困っていた川辺は、ちょっとした菓子メーカーの部長である大村と、高田林の大村の別荘で待ち合わせしていた。
店は夏休みとして一週間閉めている。
どうせ開けていてもほとんど客は来ない。
そんな店だからして、借金がかさんでいた。
そしてとうとう大村も川辺の願いを拒否した。
それだけではなく、川辺の人間性までを大村は罵った。
かつて、仲の良い先輩と後輩だった絆はすでになく、大村は川辺の全てを否定した。
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