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(通り過ぎる車に大村を放り出して跳ねさせたらどうなるだろうか?)
自分の犯行を偽装できると川辺は考えた。
そう迷っている間もなく、車の明かりが遠くに見えた。
車種など確かめている時間はなかった。
元々、車の通りが少ない道だ。
これを逃すと次はないかもしれない。
「悪く思うなよ」
川辺はまったく身勝手な独り言を呟くと、大村の死体を抱え上げた。
道路からは見えないように、ブナの木に隠れているのでタイミングが図りにくかった。
一種の賭けである。
しかし、川辺には開き直りにも似た度胸が形成されていた。
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