CLUB rainbow

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「この店のナンバーワンを知ってるか?」 不意に田中さんが私に問い掛けた。 その表情は得意気で、どこか秘密を握っているような口振りだ。 「マホさん……ですか?」 目の前の中年男はテーブルに両手をつき、グイッと身を乗り出して大袈裟に首を横に振る。 さも重大な秘密を打ち明けるように。 「アカリが入るまではな」 「アカリさん?」 「あぁ。3ヶ月前に入った新人でね、若くて可愛い子だよ」 「3ヶ月ですか……」 「あぁ。まだ入って3ヶ月だっていうのに、2ヶ月連続の1位だよ。すごいだろ?」 「すごい!」 「何でだと思う?」 学校の先生に問題を出された時のような気分だ。 「えぇっと…… かなりの美人……?」 「いいや、違う」
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