CLUB rainbow

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「お前、面白すぎ!! お前さ、さっき『ファイヤー!』って言おうとしたろ!? 『フ、ファイ……ライタァアアー!』って。テンパりすぎだろ!」 浅田さんはお腹を抱えてゲラゲラ笑いながら、自分のライターを差し出した。 「ほら、これ使えよ」 穴があったら入りたい……。 私は急いでライターを受け取り、浅田さんのタバコに火をつけようとした。 浅田さんはそっと私の手をライターごと包み、自分のタバコに火を近づけた。 浅田さんのタバコの先が、ちりちりと赤くなっていく。 浅田さんが、私の手に触れている…… 私の手は震えていないだろうか? 胸がキュンとなる。 タバコに火がついた時、浅田さんは堪えていた笑いを、煙と一緒に吹き出した。 「お前、ホントおもしれー!」 私は恥ずかしさと照れで何も言えず、テーブルの下に落ちてしまったライターを拾おうとした。 隠れてしまいたい。 というか、もう帰りたい。
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